N/Aと14歳

 年森瑛(あきら)さんのN/A(エヌエー)と千原ジュニアさんの14歳を同時並行で読んでいました。

N/A (文春e-book)
年森 瑛 著
文藝春秋 出版
2022/6/22 発売

14歳 (幻冬舎よしもと文庫)
千原ジュニア  著
講談社 出版
2007/1/13 発売

N/A

N/Aは、帯がすごくて、文學界新人賞受賞を全委員激賞で受賞とあり、さらに金原ひとみさんや東浩紀さんなどそうそうたるメンツがコメントを寄せています。LGBT、SNS、コロナというキーワードがありながら、生理という一本の線上にいくつかエピソードが重ねられ、そのエピソードを通して主人公がかけがえのない他人を求めているが、果たして自分は他人にとってかけがえいのない他人になりえているのかについてを経験していくという話だと感じました。

14歳

こちらもベストセラーになっている小説で、学校の理不尽さから不登校・ひきこもりになり、現在のお笑いのスターになるまでに、どんなことを考えていたのか、そのきっかけとは?について主に内面の心の奥底に眠っている熱というか魂の衝動が行き場を見つけられていない様子がとことん書かれています。

青年期

伝えたいことも物語(ノンフィクション、フィクション)の構成も時代も異なりますが、みな青年期にはこのように思い悩み、何かにカテゴライズされ、それを抜け出そうともがき、何かを発見していくという繰り返しがあるのかなと思います。
モチベーショングラフを書くと、人生の浮き沈みがあるのが分かります。モチベーションが上がる前には大きくかがみこみ力を貯める期間も必要です。N/Aはフィクションなので、その後のモチベーションについては語られていないですが、多分大きな学びがあり、誰かにとってのかけがえのない他人になるのではないかと思っています。

シュタイナー教育 第3・7年期

シュタイナー教育では7年周期で成長を見ていくという特徴があります。0-7歳はからだを、7-14歳はこころを、14-21歳はあたまが育つ時期であり、それに合わせた教育があるのでは?という切り口ですね。
さて、上記の14歳では、7-13歳の出来事はたくさんは触れられていないですが、こころが動かされる(感動する、賛美する)出来事はラクガキをお父さんに気に入ってもらえたこと、尊敬できる大人はおばあちゃんというエピソードがあります。
そして、第2・7年期の最後でも14歳、そして第3・7年期である14歳から21歳に突入しますが、そこで自分自身の奥底に持っている自由へ向かう精神を守るため、一度引きこもりの時代に入ります。
一方、N/A(エヌエー)の方は、社会性の目覚めも早い女性で、かつ高校生ですからこの第3・7年期である思春期に真っ只中です。この社会性の目覚めと性の衝動との出会い、そして他人との関係性から自分を見つめ、新しい自分を発見していく過程が、この思春期だと考えると、とてもよい魂の学びをしているのではと思いました。
ただ、このマイノリティとしての当事者の悩みはとてもつらいので、何らかの教育が助けになるとよいなと思いつつ、時代が変わるとともに新たな悩みは出てくると思いますので、そのあたりを新しく学んでいくしかないのかなとも思いました。

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