AI・ロボットと共存の倫理
AIと人間を考えるうえで、現時点での研究者の考え方を知ることができる本です。AIの技術的な内容ではなく、生命と機械やAIやロボットの倫理観についても触れられています。
AI・ロボットと共存の倫理
西垣 通 編集
岩波書店 出版
2022/7/6 発売
岩波書店 出版
2022/7/6 発売
AIを活用した日本の政策シミュレーションでも有名な広井良典さんのパートでは、「生命」「非生命」「情報」について語られています。
- 生命はDNA情報では容量が足らなくなり、脳を発展させ、それでも足らないのでデジタル情報を作り出した、そしてその先にポスト情報化、ポスト資本主義の時代がある
- 地球は有限であり、成長のサイクルは定常化へと向かう
- 心のビッグバン(加工された装飾品、絵画や彫刻などの芸術作品が現れた時代)、精神革命(仏教、儒教、旧約思想、ギリシャ哲学)後の定常状態に続く、第3の定常状態に入る
- 生命と非生命の間に明確な線はなく連続的である
- 世界の「駆動因」を、もう一度世界の内部に取り戻し、それを「人間→生命→非生命」の領域へと順次導入し、拡張していく流れ
- 新しいアニミズム的要素を世界の内部に新たな形で取り戻していった流れ
このあたりは、京都大学こころの未来センターのこころの未来という学術広報誌でも述べられています。また、広井良典さんの主張は、東洋経済ONLINEの記事でも見ることができます。
アニミズムは日本人には八百万の神という考え方があるので、ある一部分の領域で神のような力を持つAIにもそれを認め共存していけるような気はします。
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